重音奏法

 重音とは二つ以上の音を同時に奏すること。トレモロ、ピックの両方がある。トレモロで奏する場合は表面板に対しピックは垂直にもち、右手と左手の動きは単音を弾くときと全く同じ。複数音が同じ音量になるように、手首は短音を弾くときよりも幅広く動かす。
ピックの場合は通常ダウンストロークを用いるが、速い楽曲の重音が続く場合はダウン、アップと交互にする方が効果的。中速の曲でダウンストロークばかりで奏する場合は手首のスナップを効かせて、ピックを少し下に傾けて素早く打ち下ろす。左手はしっかり弦を保持する。


重音のピッキング
 同時に弾く音にカギ括弧 〔  が用いられることもある。

マネンテの「メリアの平原にて」

 

ブルーグラスやショーロ音楽ではコードを多用している。

ショーロのIzaías e Seus Chorõesの例

重音トレモロ

S.ファルボの「田園写景」の最後の部分。二分音符、全音符の重音はトレモロ。

弦の分割(ディヴィジ、divisi)

 重音を2分割した奏者によって分けて奏されることがある。通常はプルト2人で分割するかプルトの奇数番目が上を弾く。その場合はパートにdivisiまたは略してdiv.と記される。

 マンドリン合奏では譜面台を各自が使うことが多い。この場合、プルトを組むという意識はなく客席側と中側で分割することが多いようだ。読みやすくするために分割した五線譜とすることもある。1つのセクションを3分割する場合はdiv. in 3 と表わされる。この場合、各奏者にどのパートを奏すべきか指示することが必要になる。セクションの半分だけ奏する場合や最後部のプルトのみ奏する指示もある。
ギターではコードなどの音符が多いために分割した五線譜にしたり、はじめから2部に分けた編成とすることもある。

中世の吟遊詩人(アマデイ)のマンドラとマンドロンチェロの2分割
マンドラは2パートの譜面となっている。音形はファンファーレなので、原曲ではホルンなのだろう。

テヌート、ソステヌート、リテヌート、フェルマータ G.P