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共同通信 2022年 3/9(水) 22:00配信
政府は9日、新型コロナウイルス対応のまん延防止等重点措置の適用下で実施している大規模イベントの人数制限について、声援を出さないなど一定の感染対策を前提に撤廃する方針を固めた。これまでは上限撤廃には全員検査が必要だったが不要とする。11日にも開く新型コロナ対策分科会で専門家の了承を得て、来週(3月13日の週)決定する方向だ。
世界的に規制は撤廃の方向であり、中小規模イベントである演奏会ライブも緩和されると期待できる。
苦境に陥っていた鈴木ヴァイオリンに小野田祐真氏が2019年11月から製造取締役として就任、リブランディングに取り組んでいる。
鈴木ヴァイオリンは鈴木政吉が1890年にヴァイオリンを、1903年にマンドリンを製造し始める。また鈴木政吉の次男である鈴木鎮一がヴァイオリンの指導方法であるスズキメソードを1946年に始めている。
小野田祐真氏は3歳からこのスズキメソードを受けている。仕事上の付き合いのある弁護士協会から名古屋の楽器製造会社が苦しんでいるので助けて欲しいという依頼を受け2019年6月からコンサルタントとして携わっていた。経営改革は生産体制の確立、商品ライアップの整理、部品の共通化、在庫処分などの改革で、会社は2021年8月現在、集中治療室(ICU)から一般病棟に移った感じという。(東京新聞 2021年8月30日)
2021年1月13日付の要請文
「今般の感染拡大の状況下から、第二次緊急事態宣言が今月7日に発令されました。それに伴い、午後8時での閉場が法律によらない『働きかけ』として呼びかけられています。この『働きかけ』は、ライブハウス/クラブの全面的な営業停止、演劇の夜公演の中止、映画館のレイトショー上映の中止を意味します。演劇においては50%、映画では25%の営業時間の短縮がそのまま売り上げの減少に直結します。こうした文化施設に携わる者たちの存亡にかかわる問題が、法律にもよらず、何らの補償の提案もないままになされていることを、私たちは当事者として看過するわけにはいきません」
コロナ禍で死にたいと思った 3割以上
文化関連の30以上の団体が参加する「演劇緊急支援プロジェクト」が2020年12月31日から2021年1月7日にかけてインターネットを通じてアンケート調査を行い、俳優や音楽家など文化芸術活動に携わる5378人から回答が寄せられた。
結果は
収入:無収入 5%
新しい仕事の依頼:全くない 31%
死にたいと思ったことがあるか:ある 32%
劇作家で演出家の瀬戸山美咲さんは「文化芸術は多くの人たちの心を支えているはずなのに不要不急なものと言われて支援も後回しになり、作り手たちの心が守られていないことを示す結果となったのではないか」と話していた。
市場規模は8割減
コロナの感染拡大がライブ・エンタメ業界に与える打撃は2020年から続いている。
ぴあ総研の調査によると、2020年のライブ・エンタテインメントの市場規模(試算値)は1306億円で、前年(6295億円)に比べ約8割の大幅減となった。
政府は、2020年1月20日に再び緊急事態宣言を出した地域などで中止や延期した音楽や演劇、伝統芸能などの公演イベントについて、会場のキャンセル費用など最大2500万円を支援すると発表した。支援の対象となるのは、再び緊急事態宣言を出した11都府県やそれに準ずる地域のイベントなどの主催者や運営法人です。ただし、中止、延期になったイベントのPR動画を制作・配信し、それによりイベントの海外展開や訪日外国人の増加につながるものであることが条件。
音楽活動への影響
2020年3月以降、演奏会を始め、舞台やライブ会場などでのイベントが中止され、集会場や音楽室も閉鎖されたため、マンドリン合奏などの練習も出来なくなった。ぴあ総研が発表した文化・スポーツイベントへの影響では、3月23日時点で中止により収入がゼロになるか減少したイベントは8万1000件、入場できなかった観客数5800万人、その入場料総額は1750億円に上る。5月末まで中止される場合、損失は合計で3300億円と推定されている。
ヨーロッパでもドイツのベルリン演劇祭、バイロイト音楽祭、フランスのラ・フォル・ジュルネなどの大規模イベントを始め、多くの文化芸術活動が中止または縮小に追い込まれた。
2020年6月25日に株式会社日本政策投資銀行(DBJ)は、このたび「新型コロナウイルス感染拡大によるイベント等自粛の経済的影響について~3-5月の全国での経済損失3兆円と推計~」と題したミニレポートを発行した。これは音楽以外にスポーツイベントなども含んでいる。音楽関連は中止・延期が12,705、損失金額9048億円と推計されている。
欧米での支援策
ヨーロッパでの文化芸術活動は歴史的に貴族や国家による支援があり、国民生活のベースであるとの認識になっている。2020年の新型コロナウィルスの蔓延に対して、ドイツではグリュッタース文化大臣の「アーティストは(社会にとって)不可欠であるだけでなく、とりわけ今は、生きるために欠かせない存在だ」との発言もあり「芸術・文化・メディア産業におけるフリーランスおよび中小の事業者に対する大規模な支援」として360万円以上の融資や、個人への助成金として3ヶ月間で108万円から180万円の支給を行なった。実際、現地で活動している日本人のアーティストがネットで申請すると、翌日には支給されたという。フリーランスの芸術家への無制限の支援も表明している。
フランスはアンテルミタン・デュ・スペクタクルというフリーランスの舞台芸術関係者を保護する制度がある。これは舞台芸術の仕事に従事する人が10か月の間に、最低507時間の仕事に従事すると、翌年は契約が途切れた期間に失業手当が支払われ、毎月最低限の収入が保証される。ただし、地元の人に言わせると「システムが複雑だし、昨年の実績が悪かった人はあまり補償されない」と不満のようだ。リステール文化相は3月18日、「我が国が直面する未曾有の危機は、文化へ従事する人々に大きな打撃を与えた。私たちは彼らの生活を保障するために、あらゆる手段を尽くさなければならない。かかっているのは、私たちの文化モデルの将来である」と声明した。
カナダではフリーランスに15万円を4ヶ月支給している。
アメリカでは2020年12月、音楽会場や劇場など文化芸術関連の団体などに総額約1兆6000億円を支援する法律が成立した。支援を求める運動「#Save Our Stages」に210万人が賛同の声を上げたことが、法成立を後押しした。
日本の支援策
文化庁長官で東京芸術大学名誉教授でもある宮田亮平氏は「日本が活力を取り戻すために、文化芸術が必要だと信じています。日本の文化芸術の灯を消してはなりません」というメッセージを2020年3月28日に発表している。しかしながら、実際の支援策は下記のようであり、ヨーロッパとは比較のしようも無い。
日本の支援は主に企業が対象で「月収が半分以下となった場合に中小企業に最大200万円、個人事業者に最大100万円を1回支払う」というもの。また、小口の貸し付けとして個人事業主などに最大20万円、個人には最大10万円の貸し付け制度、国民一人一人に10万円の支援などがある。この10万円の支援は当初対象を絞っての30万円だったが、遅い、分かり難いなど、評判が悪く「選挙も控えている中で、この局面を打開したい」と修正した。支給時期は東京都が「重大局面」宣言を出した3月25日から2~3ヶ月程度後からとなる。
文化芸術関係では「文化施設再開に向けた感染症対策」があり、これは劇場などを使えるように赤外線検温装置、消毒薬の設置をするなどの支援。その他、感染症の拡大が収束した後に官民一体型の消費喚起キャンペーンを実施することが提案されている。
コンサルタント会社ケイスリーによる4月上旬の調査によればアーティストの8割が減収となっている。ライブハウスや小劇場の9割以上が閉鎖されているが、これが何ヶ月も継続されれば、そこを発表の場としていたアーティストは生活ができなくなり、文化芸術の発信がなくなる。
東京都が4月15日に発表した「ウェブ上で発信・掲載された作品などに対して、最大百万円程度の費用を支援する」という施策はアーティストにとって数少ない朗報の一つだろう。
◎文化のための助成金を国に求める署名活動「#SaveOurSpace」
2020年3月27日、新型コロナウイルスの影響でイベントの中止などを余儀なくされた劇場やライブハウスなどのための助成金を求める署名活動「#SaveOurSpace」がスタート。坂本龍一ら多くの著名人も署名を多く呼びかけ、3月31日時点で30万筆の署名が集まった。発起人はDJ、コンポーザーのMars89、yahyelの篠田ミル、「LIVE HAUS」店長のスガナミユウら。詳細URL (ART BEAT NEWSより)
◎愛知県は芸術家や劇団、将棋教室などに支援
愛知県の大村秀章知事は2020年5月1日、県内の文化芸術関係の法人に20万円、個人事業者10万円を支給すると発表した。劇団や美術館、音楽、書道、将棋、囲碁などの教室の運営者らが対象で、売り上げが前年同月比50%以上減や、国の持続化給付金が支給されていることが条件。総額6億円(朝日新聞2020年5月1日)
2020年5月の舞台芸術ネットワークのアンケート調査によれ22社のうち4割に当たる9社が経営の継続不可または大幅な縮小と回答している。
◎2020年5月26日。政府は第二次補正予算で芸術関係者に最大150万円の政府支援として560億円を計上した。個人や小規模事業者に最大で150万円を支援する。
マンドリンの演奏者・団体はほとんどがアマチュアであり、経済的な影響は少ないが、マンドリンの指導者や講師の収入は減少しているようだ。今後ともマンドリン楽界は学生と年金世代主体の活動が継続していくのだろう。