コントラバスの奏法

運弓法

コントラバスの弓は2つの形がある。一つは「ドイツ弓(ドイツボー)」もう一方は「フランス弓(フレンチボー)」と呼ばれる。ドイツボーは親指を棒の上にして持ち、弓の柄はその他の指で西洋鋸を握るように持つ。フレンチボーはチェロの弓を大きくしたような形で奏法もほぼチェロの場合と同様。この2つの方法は手首の運動の違いとなる。ドイツボーでは親指が弓を弦の方に押さえつけるが、フレンチボーではその他の指が押さえる力となる。いずれを選ぶかは奏者の好みと言える。日本ではドイツボーが主流となっている。(図の左はドイツボー、右はフレンチボー)

 コントラバスは弦が太く、ボーは短く、楽器が大きいことから運動性は悪い。またレガートの運弓で長いスラーは不可能になる。19世紀の楽譜で何小節にもわたる長い持続音は複数のコントラバス奏者が同時に弓を返さないようにする。シベリウスのカレリア組曲では第1楽章122小節目からE音が13小節、第2楽章では57小節目からA音が13小節。また、104小節目からG音が10小節続いている。

 スタッカートは弦上のスタッカートが良いが速いパッセージなどでははずみ弓も使われる。

 Sul taso Sul ponticelloも良く用いられる。

  指のトレモロ(トリラ)は長二度、短二度であれば良好である。

運指法

 第1指から第4指までの手の開きは、低いポジションで長2度である。第3指は独立では用いられず第4指に添えて用いられる。第6ポジション以上ではチェロと同じように第3指と第4指を別々に使う。第7ポジション以上では親指も使う。ただしマンドリンオーケストラではハイポジションの音は撥弦楽器の中で異質の音でありコントラバス独奏など利用法を限定する必要がある。

 図で分かるようにオクターブの中には半音階ごとの12のポジションがある。しかしながら第1、第3ポジションなどの名称はダイアトニック音階のステップにより数えられ、その間のポジションはハーフポジションと呼ばれる。

 ポジション移動には開放弦を使った方が容易となる。半音階は2 4 2 4または1 2 4 1 2 4の運指を繰り返す。 

ピチカート

 レギュラーオーケストラでコントラバスは他の弦楽器よりもピチカートの利用は多い。マンドリンオーケストラでは更にピチカートが多く使われている。コントラバスのピチカートは共鳴が良くオーケストラ全体に軽やかさを与える。ギターの低音部と重複することが多いがチェロのトレモロにコントラバスがピチカートで重複することも効果的である。楽譜はK.ヴェルキの序曲1番イ長調。

ピチカートとアルコの切り替えは通常1,2拍の休符により余裕を持たせる。

ハーモニックス

 コントラバスのハーモニックスは弦が長いため音が出しやすく、音質も良い。またマンドリンオーケストラの場合は音程を調節しないで出すことが出来るため活用すると良いだろう。これは自然ハーモニックの場合だが、人工ハーモニックスは高いポジションでしか可能でないため現実的ではない。

オーケストラでの役割