スタッカートはレガートと反対に音を短く切って演奏する。楽譜に記されているスタッカートは音符にドットが付けられている。ドットはスタッカートを表す場合とピッキングを表す場合にも用いられる。いずれの意味の記号になっているかは奏者に任されていると言っていいだろう。 ・ピッキングの場合 ピックの場合は押弦した左指をピッキングで音を出した後に通常の音符の半分程度で音を止める。開放弦の場合は消音を左の指で行う。
スタッカートは下記のような記号で表され、つぎの3種類に分けられる。
a.メゾ・スタッカート 大体3/4の長さで奏する。
b.通常のスタッカート 大体1/2の長さで奏する。
c.スタッカティッシモ 大体1/4の長さで奏する。
スタッカートは四分音符や8分音符だけではなく、2分音符にもある。 ・トレモロのスタッカート ヘンデルの「泣かせたまえ」の2分音符の2拍目は短めに奏されることが多い。 マンドリンで同じような表現をする場合、8分音符程度のトレモロで止め、ピック音を残すのが効果的と思われる。
ピックではなく、指ではじく方法で柔らかい音が出る。通常Pizzと表わすが、ギターと同様に+記号も用いられる。
・右手のピチカート ヴァイオリンやギターなどのピチカートと同様に右手の人差し指、中指、または親指で奏す。速いテンポの場合はギターと同様に人差し指と中指を交互に用い、遅いテンポの場合は親指を用いる。 マンドラやマンドロンチェロのピチカートは効果的である。 ・左手のピチカート 左手の薬指または小指で弦を弾くか打つ方法(タッピングともいう)で右手が同時にトレモロを奏する場合もある。左手のピチカートはL、Pまたは★で表わされる事があるが、一般的ではない。 ・ギターのピチカート ギターの場合にピチカートは右の手平のお腹で弦を押さえ響きを止める方法をとる。 マンドリンでも同様の方法をとると響きの少ないくぐもった音となる。アンドレ・デ・サパト・ノーボ(Aコレイア)トリオ868の最初の部分はこの方法となっている。ブラジルのショーロ音楽でのバンドリン演奏ではギターピチカートの奏法を多く利用している。
The Brazillionaires: Choro Negroの例。ハーモニックスやタッピング、ポルタメントも使っている。
指ではじくのではなく、指で弦を叩いて音を出すのをタッピングと呼ぶ。速いパッセージや装飾音譜で利用すると演奏が楽になる。
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