「泣かせたまえ」Lascia ch'io pianga

ヘンデル 作曲

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(George Frideric Handel/1685-1759)のオペラ「リナルド(RINALDO)」で歌われる有名なアリア。
 
オペラの舞台は11世紀のパレスチナ。主人公のリナルドは十字軍の勇士。そしてリナルドの恋人アルミレーナ。エルサレムの王はリナルドを捕虜にするため、魔法使いの手を借りてアルミレーナを連れ去る。とらわれの身になったアルミレーナはエルサレムの王アルガンテから誘惑されるがその申し出を拒否し、リナルドへの愛を守り、愛に殉じる決意を示す。その運命の過酷さを歌うアリア。

私を一人で泣かせてください 

残酷な運命に溜息をつかせてください

失われた自由に私の悲しみの鎖を打ち砕くは

哀れみだけ

 ヘンデルはこの「泣かせてください(Lascia ch'io pianga)」の作曲が終わると、まずその楽譜を、窓際にしばらく置いて自然の“気”をそこに封じ込めたという。

 この「私を泣かせてください」(Lascia ch’io pianga) はソプラノ歌われるが、中世のヨーロッパにおいて「女性は教会では黙すべし」という掟があり、ボーイソプラノ、カウンターテナー、カストラートが高音部を担った。カストラートは去勢された男であり、女性よりも声量があるため18世紀の貴族の間で人気があった。映画「カストラート」ではこの「私を泣かせてください」をカストラートが歌っていて、音声合成によってその声をよみがえらせている。