私を一人で泣かせてください
残酷な運命に溜息をつかせてください
失われた自由に私の悲しみの鎖を打ち砕くは
哀れみだけ
ヘンデルはこの「泣かせてください(Lascia ch'io pianga)」の作曲が終わると、まずその楽譜を、窓際にしばらく置いて自然の“気”をそこに封じ込めたという。
この「私を泣かせてください」(Lascia ch’io pianga)
はソプラノ歌われるが、中世のヨーロッパにおいて「女性は教会では黙すべし」という掟があり、ボーイソプラノ、カウンターテナー、カストラートが高音部を担った。カストラートは去勢された男であり、女性よりも声量があるため18世紀の貴族の間で人気があった。映画「カストラート」ではこの「私を泣かせてください」をカストラートが歌っていて、音声合成によってその声をよみがえらせている。