ジュゼッペ・フィリッパ (Giuseppe Filippa 1836.11.3 Savigliano-1905 8.26 Pesaro)はイタリア共和国ピエモンテ州クオネ県サヴィリアーノにて音楽一家の次男として生まれた指揮者、作曲家である。父ジャコモがヴァイオリンの巨匠で国際的に有名なコンサートの演奏家であり、兄ジョヴァンニはバイオリンの教授、画家、ミニチュアリスト、写真家である。また、息子のヴィットリオも作曲家で町の祭典、山国の婚礼などの作品がある。
フィリッパはペーザロ・エ・ウルビーノ県ペーザロのペサロ国立吹奏楽団 Banda della Guardia Nazionale di Pesaro が主な活躍の場であり、楽団長であった。他にペーザロ市吹奏楽団 Banda Municipale di Pesaro 、イタリア陸軍第65歩兵連隊軍楽隊などの指揮者を歴任した。また、1883年から1905年までペーザロのジョアキーノ・ロッシーニ音楽院 Conservatorio Statale di Musica "Gioachino Rossini でトランペット、コルネット、トロンボーンの教授を務めた。
ジョゼッペ・フィリッパの作曲はサヴィリアーノ市の市庁舎に捧げられた華麗な交響曲パストレラをはじめ、合唱曲、オーケストラ曲など150曲を数える。吹奏楽曲ではイタリアの労働者協会に敬意を表して作曲し、人気のあったイルラボロの他ペザロ気質、滅びし国、四旬節謝肉祭、村祭、海などが知られている、それらの楽譜はサヴィリアーノ市長ステファノムサンテへ献呈している。1885年12月24日のアドリア海新聞に著名な音楽学者から彼の作曲を称賛した記事が載った。
フィリッパの吹奏楽曲は怯える小鳥をはじめ、還俗修道士、婚約者、滅びし国、ラ・ペザレーゼなどが中野二郎によってマンドリン用に編曲され同志社大学マンドリンクラブで初演されている。図はサヴィリアーノ市役所
怯える小鳥 ポルカ・スケルツォ Ciricicici L'Uccello impensierito,polka scherzosa
怯える小鳥はチリチチチと副題があり、イタリアのハンターたちに贈られた戯作風のポルカの曲で、中野二郎により吹奏楽曲からマンドリン用に編曲された。また、2015年12月、名古屋市立大学ギターマンドリンクラブ第52回定期演奏会では酒井国作氏による新編曲でも演奏されている。画像はイタリア狩猟協会のマーク
中野二郎はこの怯える小鳥について「終始小鳥の怯える鳴き声を模したところはマンドリンにうってつけで、指板の上(スルタスト)やブリッジ寄り(スルポンティチェロ)で表情豊かに演奏すれば吹奏楽などよりずっとラシクなる筈である。打楽器はトライアングルと小太鼓は欠かしたくない」と語っている。
ポルカ
ポルカは1835年ボヘミアのエルベルテニッツの娘アンナ・スレザク Anna Slezak) によって創始されたといわれる速い二拍子の舞曲である。その後ヨーロッパ中のサロンに広まり、19世紀前半にはワルツやマズルカと並んで舞踏会で重要な役割を果たすようになった。図は世界の民謡・童謡から。踊ろう楽しいポーレチケ Polka Tramblanka Stanisław Tokarski © 123RF.COM